はじめに
AIが一般化されたことにより勉強の方法も変わってきています。有効活用したいところです。
AIって便利ですよね。
確かに。
答え聞いたらすぐに教えてくれるし。
ずいぶんと楽になりましたよね。
はじめに

資格勉強を始めると、多くの人が一度は「分からない」という壁にぶつかります。
参考書を買った。
勉強時間も作った。
机にも向かっている。
それなのに、参考書を読んでも意味が分からない。
専門用語を調べたら、さらに知らない言葉が出てくる。
問題を解いてみても、なぜ間違えたのか分からない。
そんな状態が続くと、
「自分には資格試験なんて無理なのではないか」
と思ってしまうことがあります。
これまでの独学では、この「分からない」を自分で乗り越えなければならない場面が多くありました。
しかし、ChatGPTをはじめとする生成AIが身近になったことで、資格勉強の進め方は少しずつ変わり始めています。
AIに答えを出してもらうのではありません。
自分が理解するためにAIを使う。
それができれば、AIは独学を支える強力な学習道具になります。
今回は、乙4の勉強を始めたものの、参考書を読んでも理解できずに悩んでいる学習者と講師の会話から、AI時代の新しい資格勉強を考えてみましょう。
参考書を読んでも分からない
🔴 学習者
「先生、ちょっと相談してもいいですか?」
🔵 講師
「もちろんです。どうしました?」
🔴 学習者
「乙4の勉強を始めたんですけど、正直、思っていたより難しいです。」
🔵 講師
「どのあたりが難しいと感じていますか?」
🔴 学習者
「一つだけじゃないんですよね。参考書を読んでいると、知らない言葉が次々に出てくるんです。最初は『そのうち分かるだろう』と思って読み進めていたんですけど、だんだん分からないことが積み重なってきて……。」
🔵 講師
「なるほど。勉強そのものが進みにくくなってきたんですね。」
🔴 学習者
「そうなんです。昨日なんて、30分くらい同じページを読んでいました。」
🔵 講師
「30分ですか。その間、ずっと同じところを考えていたんですか?」
🔴 学習者
「はい。何度読んでもよく分からなくて。でも、『ここを理解しないまま次へ進んだらダメなんじゃないか』と思ったんです。」
🔵 講師
「それで、最終的にはどうしました?」
🔴 学習者
「結局、そのページだけで昨日の勉強は終わりました。」
🔵 講師
「今日はどうですか?」
🔴 学習者
「それが……今日は参考書を開くのがちょっと嫌になっています。」
🔵 講師
「なぜでしょう?」
🔴 学習者
「また分からなかったら嫌だなと思って。勉強って、分からないものを分かるようにするためにやるじゃないですか。でも、分からないものが出てくると、それだけですごく疲れるんですよね。」
🔵 講師
「それは資格勉強を始めた人には珍しいことではありません。特に久しぶりに勉強する人の場合、内容そのものより『分からない状態が続くこと』に疲れてしまうことがあります。」
🔴 学習者
「まさにそれです。自分は勉強に向いていないのかなと思いました。」
🔵 講師
「まだ、そう判断する必要はありませんよ。」
🔴 学習者
「そうなんですか?」
🔵 講師
「一つ聞きたいんですが、昨日30分間悩んでいたとき、誰かに質問しましたか?」
🔴 学習者
「していません。」
🔵 講師
「インターネットでは調べました?」
🔴 学習者
「少し検索しました。でも検索結果を読んだら、また知らない言葉が出てきたんです。それで余計に分からなくなって、『もういいや』となりました。」
🔵 講師
「では、ChatGPTには質問してみましたか?」
🔴 学習者
「ChatGPTですか?」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「使ったことはあります。でも資格勉強には使っていません。」
🔵 講師
「どうしてですか?」
🔴 学習者
「なんとなく、勉強で使ったら答えを教えてもらうだけになりそうで……。それだと勉強したことにならない気がするんですよ。」
🔵 講師
「なるほど。では、少し考えてみましょう。参考書を読んでも分からないところを、先生に『ここを説明してください』と質問するのは、勉強していないことになるでしょうか?」
🔴 学習者
「いや、それは違いますよね。むしろ普通のことだと思います。」
🔵 講師
「ではAIに、『ここが分からないので、もっと分かりやすく説明してください』と質問するのはどうでしょう?」
🔴 学習者
「ああ……。そう言われると、確かに同じような使い方ができますね。」
🔵 講師
「そうなんです。AIの使い方には大きな違いがあります。『答えを出してもらうために使う』のか、『自分が理解するために使う』のかです。」
🔴 学習者
「理解するために使う……。」
🔵 講師
「昨日は何が分からなかったんですか?」
🔴 学習者
「燃焼範囲です。言葉だけを見ると何となく意味は分かりそうなんですけど、参考書の説明になると急に難しく感じて。」
🔵 講師
「では、ChatGPTに質問するとしたら、何と聞きます?」
🔴 学習者
「普通に『燃焼範囲とは何ですか?』ですかね。」
🔵 講師
「それでも回答は返ってくるでしょう。でも、もう少し自分の状況を伝えてみましょう。」
🔴 学習者
「自分の状況ですか?」
🔵 講師
「たとえば、『危険物乙4を初めて勉強しています。化学が苦手です。燃焼範囲について、初心者にも分かる言葉で説明してください』という聞き方です。」
🔴 学習者
「化学が苦手だということまで書くんですね。」
🔵 講師
「はい。自分の理解度や目的を伝えることで、自分に合った説明を求めやすくなります。」
🔴 学習者
「でも、それでも説明が分からなかったらどうするんです?」
🔵 講師
「もう一度聞けばいいんです。」
🔴 学習者
「同じことを何回もですか?」
🔵 講師
「聞き方を変えます。『まだ難しいので、もっと簡単に説明してください』『中学生にも分かるくらい簡単にしてください』『身近な例を使って説明してください』でもいいでしょう。」
🔴 学習者
「そんなふうに何度も聞いていいんですね。」
🔵 講師
「それがAIを使った学習の大きなメリットです。」
🔴 学習者
「人に同じことを何回も聞くのは、ちょっと気を使いますからね。」
🔵 講師
「そうですね。」
🔴 学習者
「先生に三回くらい同じ質問をしたら、『さっき説明したよね?』って思われそうです。」
🔵 講師
「私はできるだけ何回でも説明しますよ。」
🔴 学習者
「それでも、こっちは気を使いますよ。」
🔵 講師
「確かに、それはあるでしょうね。でもAIなら、『まだ分かりません』『もっと簡単に』『別の例で』と何度質問しても構いません。」
🔴 学習者
「それなら、分からないまま30分悩むよりいいかもしれませんね。」
🔵 講師
「そこが重要です。AIによって勉強時間そのものが増えるわけではありません。でも、今まで『分からない』で止まっていた時間を短くできる可能性があります。」
AIに聞いたら「分かったつもり」にならないのか
学習者は実際にChatGPTを使ってみることにしました。
これまでは、参考書を読んで理解できなければ、何度も同じ文章を読み返していました。
今回は、その途中にAIとの対話を入れてみます。
🔴 学習者
「じゃあ、やってみますね。『危険物乙4を初めて勉強しています。化学が苦手です。燃焼範囲について初心者にも分かるように説明してください』……これでいいですか?」
🔵 講師
「いいと思います。まず説明を読んでみましょう。」
学習者は画面に表示された説明をゆっくり読みました。
しばらくすると、表情が少し変わります。
🔴 学習者
「ああ……。昨日より分かる気がします。」
🔵 講師
「では、本当に分かったか確認しましょう。」
🔴 学習者
「え? 今の説明で分かったと思いますけど。」
🔵 講師
「そこが勉強の難しいところです。説明を読んで理解したことと、自分で問題を解けることは同じではありません。」
🔴 学習者
「確かに……。参考書を読んでいるときも、『分かった』と思って問題を解いたら間違えることがあります。」
🔵 講師
「そうでしょう。ではAIに、『燃焼範囲を理解できたか確認したいので、乙4レベルの簡単な問題を3問作ってください』と頼んでみましょう。」
🔴 学習者
「問題まで作ってもらえるんですか?」
🔵 講師
「できます。ただし、AIが作った問題や解説にも誤りが含まれる可能性はあります。ですから、重要な知識は参考書などで確認することを忘れないでください。」
🔴 学習者
「AIが言ったことを全部正しいと思っちゃいけないんですね。」
🔵 講師
「そうです。そこはとても大切です。」
学習者はAIに問題を作らせ、一問ずつ解いてみました。
一問目は正解。
二問目も正解。
しかし三問目で手が止まります。
🔴 学習者
「……これ、分からないですね。」
🔵 講師
「いいですね。」
🔴 学習者
「いや、間違えそうなんですけど。」
🔵 講師
「だからいいんです。」
🔴 学習者
「どういうことですか?」
🔵 講師
「今、自分がどこまで理解できていて、どこから理解できていないのかが見つかったでしょう?」
🔴 学習者
「ああ……なるほど。」
🔵 講師
「資格勉強では、勉強中に間違えることは悪いことではありません。本番まで分からないところに気づかないほうが困ります。」
🔴 学習者
「そう考えると、間違えるのも勉強の一部ですね。」
🔵 講師
「そのとおりです。では、この問題についてAIに聞いてみましょう。」
🔴 学習者
「『答えを教えてください』でいいですか?」
🔵 講師
「それだけでは、少しもったいないですね。」
🔴 学習者
「じゃあ、どう聞けばいいんです?」
🔵 講師
「『この問題が分かりませんでした。答えだけではなく、なぜその答えになるのか、考え方を順番に説明してください』と聞いてみましょう。」
🔴 学習者
「なるほど。答えじゃなくて、考え方を聞くんですね。」
🔵 講師
「そうです。」
学習者は質問を入力しました。
表示された説明を読み、途中で参考書も開きます。
そして、先ほどまで分からなかった部分をもう一度確認しました。
🔴 学習者
「あれ……。」
🔵 講師
「どうしました?」
🔴 学習者
「昨日読んだときより、参考書に書いてあることが分かります。」
🔵 講師
「同じページですよね?」
🔴 学習者
「同じです。文章も変わっていません。でも昨日は、『何を言っているんだろう』という感じだったのに、今は意味がつながります。」
🔵 講師
「AIの説明によって、参考書を理解するための足場ができたんでしょうね。」
🔴 学習者
「じゃあ先生、最初からAIだけで勉強したらもっと早いんじゃないですか?」
🔵 講師
「そこは注意が必要です。」
🔴 学習者
「やっぱりダメですか?」
🔵 講師
「AIを使うことがダメなのではありません。AIだけを基準にして勉強することにはリスクがあります。」
🔴 学習者
「間違った答えが出ることがあるから?」
🔵 講師
「そうです。AIは非常に自然な文章で回答します。そのため、間違った内容でも正しそうに見える場合があります。」
🔴 学習者
「それは怖いですね。」
🔵 講師
「特に資格試験では、数字、条件、法令など、正確性が重要になる知識があります。制度や法令は変更されることもあります。」
🔴 学習者
「じゃあ、何を信用すればいいんです?」
🔵 講師
「学習の土台となる信頼できる教材や公式情報です。AIは、それらを理解するための補助として使います。」
🔴 学習者
「参考書の代わりにAIを使うんじゃなくて、参考書を理解するためにAIを使う。」
🔵 講師
「いい考え方ですね。」
🔴 学習者
「そう考えると、使い方が少し分かってきました。」
🔵 講師
「参考書には参考書の役割があります。過去問には過去問の役割があります。そしてAIにもAIの役割があります。」
🔴 学習者
「たとえば?」
🔵 講師
「参考書で基本的な知識を学ぶ。分からないところをAIに質問する。理解できたと思ったら問題を解く。間違えたら原因を考える。それでも分からなければAIに説明してもらう。そして重要な内容を参考書や公式情報で確認する。」
🔴 学習者
「なるほど……。一つの道具だけで全部やろうとしないんですね。」
🔵 講師
「そうです。」
🔴 学習者
「それなら、今までやっていた勉強を全部変えなくてもよさそうですね。」
🔵 講師
「むしろ、今までの勉強方法にAIという新しい選択肢を加える、と考えたほうがいいでしょう。」
🔴 学習者
「それならできそうです。」
少し安心した表情を見せた学習者でしたが、しばらくすると再び画面を見ながら考え込みました。
🔴 学習者
「でも先生、もう一つ気になることがあります。」
🔵 講師
「何でしょう?」
🔴 学習者
「こんなふうに何でもAIに聞いていたら、そのうち自分で考えなくなりませんか?」
🔵 講師
「その可能性はあります。」
🔴 学習者
「やっぱり。」
🔵 講師
「AIが便利だからこそ、使い方を間違えると『分からなければすぐAIに聞けばいい』という勉強になってしまいます。」
🔴 学習者
「自分、たぶんそうなりそうです。問題を見て10秒考えて分からなかったら、『もうChatGPTに聞こう』って。」
🔵 講師
「そこで、一つルールを作ってみましょう。」
🔴 学習者
「ルールですか?」
🔵 講師
「問題を見たら、まず自分で考える。そして必ず自分なりの答えを出してからAIを使うんです。」
🔴 学習者
「間違っていても?」
🔵 講師
「もちろんです。むしろ間違っていたほうが、自分の考え方のどこに問題があったのかを調べられます。」
🔴 学習者
「ああ……。ただ正解を見るより、そのほうが勉強になりそうですね。」
🔵 講師
「さらに、『私はこう考えてこの答えを選びました。どこが間違っていますか?』と質問することもできます。」
🔴 学習者
「そこまで説明するんですか?」
🔵 講師
「そうです。AIに自分の代わりに考えてもらうのではありません。自分の考え方を確認するために使うんです。」
🔴 学習者
「なるほど……。」
🔵 講師
「覚えておいてください。AIを使えば勉強を楽にできる部分はあります。でも――」
講師は、先ほど学習者が間違えた問題をもう一度指しました。
🔵 講師
「『楽になること』と『自分で解けるようになること』は、同じではありません。」
🔴 学習者
「……確かにそうですね。」
🔵 講師
「試験会場では、自分で考えて、自分で答えを選びます。だから最終的には、自分一人で解ける状態にしなければなりません。」
🔴 学習者
「じゃあ、もう一回この問題をやってみます。」
学習者はChatGPTの画面から目を離しました。
参考書もいったん閉じます。
そして、先ほど間違えた問題をもう一度読みました。
今度はすぐに答えを確認しません。
問題文を読み、自分の中で考えます。
少し時間が経ってから、一つの選択肢を指しました。
🔴 学習者
「今度は……これだと思います。」
🔵 講師
「なぜ、その答えを選びました?」
🔴 学習者
「さっきまでは何となく選んでいました。でも今なら、たぶん理由も説明できます。」
AIを使わない時間が、本当の理解度を教えてくれる
🔵 講師
「では、説明してみてください。」
🔴 学習者
「はい。さっき説明してもらった内容だと……この条件では燃焼できる濃度の範囲に入っているから、この答えになると思います。」
🔵 講師
「いいですね。最初に答えたときとは何が違いますか?」
🔴 学習者
「最初は、選択肢を見て『たぶんこれかな』という感じでした。でも今は、少なくとも自分がどう考えて選んだのかは説明できます。」
🔵 講師
「そこは大きな違いですよ。」
🔴 学習者
「でも、これで本当に理解できたと考えていいんでしょうか?」
🔵 講師
「まだ確認する方法があります。」
🔴 学習者
「またAIに問題を作ってもらうんですか?」
🔵 講師
「それもできます。ただ、今度は少し違うことをしてみましょう。」
🔴 学習者
「何をするんです?」
🔵 講師
「ChatGPTも参考書も見ないで、自分の言葉で『燃焼範囲とは何か』を説明してみてください。」
🔴 学習者
「えっ、説明するんですか?」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「問題を解くんじゃなくて?」
🔵 講師
「人に説明しようとすると、自分が本当に理解できているか分かりやすいんです。」
🔴 学習者
「うーん……。」
学習者は少し考えました。
先ほどまで画面に表示されていた文章を思い出そうとします。
しかし、そのまま暗記した言葉を再現するのではなく、自分なりの言葉に置き換えようとしました。
🔴 学習者
「燃焼範囲っていうのは……可燃性の蒸気とかガスがあれば、どんな濃さでも燃えるわけじゃなくて……。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「薄すぎても燃えないし、濃すぎても燃えない。その間に、燃えることができる濃度の範囲がある。その範囲が燃焼範囲……という感じですか?」
🔵 講師
「かなり整理できていますね。」
🔴 学習者
「あ、本当ですか?」
🔵 講師
「少なくとも、文章を丸暗記しているだけではなく、意味を自分なりに説明できています。」
🔴 学習者
「昨日は参考書を30分読んでも説明できなかったと思います。」
🔵 講師
「今日はどのくらいでした?」
🔴 学習者
「正確には見ていませんけど、昨日みたいに同じところでずっと止まってはいませんね。」
🔵 講師
「これが、AIによって資格勉強が変わる一つの例です。」
🔴 学習者
「勉強時間を短くするということですか?」
🔵 講師
「それだけではありません。『分からない状態で止まっている時間』を減らせる可能性があるということです。」
🔴 学習者
「ああ、なるほど。」
🔵 講師
「30分勉強したとしても、30分間ずっと同じところで悩んでいる場合と、分からないところを質問しながら理解して問題まで解いた場合では、中身が違いますよね。」
🔴 学習者
「確かにそうですね。」
🔵 講師
「ただし、ここからが大切です。」
🔴 学習者
「まだ何かあるんですか?」
🔵 講師
「今日理解できたからといって、一週間後にも覚えているとは限りません。」
🔴 学習者
「ああ……それはあります。勉強した日は分かったと思っても、数日すると忘れていることがあります。」
🔵 講師
「だから、AIを使ったから一回で覚えられる、と考えてはいけません。」
🔴 学習者
「結局、復習は必要なんですね。」
🔵 講師
「もちろんです。」
🔴 学習者
「そこまでAIが全部やってくれるわけじゃないんですね。」
🔵 講師
「AIは記憶してくれる道具ではなく、学習を助けてくれる道具です。覚えるのは自分自身です。」
🔴 学習者
「なるほど。」
🔵 講師
「では、今日の燃焼範囲について、明日もう一度問題を解いてみてください。」
🔴 学習者
「同じ問題ですか?」
🔵 講師
「同じ問題でもいいですし、別の問題でも構いません。重要なのは、AIの説明を見ない状態で解けるかどうかです。」
🔴 学習者
「そこで解けなかったら?」
🔵 講師
「もう一度勉強すればいいだけです。」
🔴 学習者
「それでいいんですか?」
🔵 講師
「資格勉強では、一回で全部覚えようとする必要はありません。忘れたら、また思い出す。その繰り返しです。」
🔴 学習者
「AIがあるから、復習しなくてよくなるわけじゃないんですね。」
🔵 講師
「そうです。むしろAIを使って復習の質を上げる、と考えてみてください。」
🔴 学習者
「復習の質?」
🔵 講師
「たとえば、昨日間違えた問題をAIに伝えて、『この分野について似た問題を作ってください』と頼むことができます。」
🔴 学習者
「ああ、それなら同じところを練習できますね。」
🔵 講師
「あるいは、『この内容について一問一答を5問作ってください』と頼むこともできます。」
🔴 学習者
「それは便利そうです。」
🔵 講師
「ただし、作られた問題や解説が正しいかどうかは確認する必要があります。」
🔴 学習者
「そこは忘れちゃいけないんですね。」
🔵 講師
「はい。便利だからこそ、確認する習慣が必要です。」
学習者は、少し考えながらノートに何かを書き始めました。
🔵 講師
「何を書いているんですか?」
🔴 学習者
「AIを使うときのルールです。」
🔵 講師
「どんなルールにしました?」
🔴 学習者
「まず自分で考える。分からなかったらAIに聞く。答えだけじゃなくて理由を聞く。それから参考書で確認する。最後に、もう一度自分で問題を解く。」
🔵 講師
「いいですね。」
🔴 学習者
「あと、翌日にももう一回やる。」
🔵 講師
「それも入れておきましょう。」
🔴 学習者
「こうして書いてみると、AIを使うといっても、結局自分でやることは結構ありますね。」
🔵 講師
「そこに気づいたことが大切です。」
🔴 学習者
「最初は、AIを使えば資格勉強がすごく簡単になるのかと思っていました。」
🔵 講師
「簡単になる部分はあるでしょう。でも、資格を取るために必要な知識を身につけるのは学習者自身です。」
🔴 学習者
「AIが代わりに合格してくれるわけじゃないですもんね。」
🔵 講師
「そのとおりです。」
AIが変えるのは「勉強そのもの」ではなく「学び方」
数日後、学習者は再び講師のところへやってきました。
以前とは少し違い、参考書だけではなく、問題集とノートも一緒に持っています。
🔵 講師
「その後、勉強はどうですか?」
🔴 学習者
「前より進むようになりました。」
🔵 講師
「AIを使っているんですか?」
🔴 学習者
「はい。でも、何でも聞くようにはしていません。」
🔵 講師
「どう使っています?」
🔴 学習者
「まず参考書を読むようにしています。それで、分からないところが出てきたら、少し自分で考える。それでも分からなかったらChatGPTに聞きます。」
🔵 講師
「以前とは変わりましたね。」
🔴 学習者
「かなり変わりました。」
🔵 講師
「どのあたりが一番変わりました?」
🔴 学習者
「前は分からない言葉が出てくると、そこで止まっていたんですよ。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「それで何回も参考書を読んで、だんだん嫌になって、結局その日の勉強が終わる。」
🔵 講師
「最初に話していた状態ですね。」
🔴 学習者
「そうです。でも今は、『分からなかったら説明の仕方を変えてもらえばいい』と思えるようになりました。」
🔵 講師
「それだけでも気持ちは変わりますか?」
🔴 学習者
「変わりますね。分からない問題が出てきても、前ほど怖くなくなりました。」
🔵 講師
「なぜでしょう?」
🔴 学習者
「分からないこと自体が失敗じゃないと思えるようになったからだと思います。」
🔵 講師
「なるほど。」
🔴 学習者
「分からなければ、質問の仕方を変える。説明を読んでも分からなければ、もっと簡単にしてもらう。それでも分からなければ、例を出してもらう。」
🔵 講師
「いい使い方ですね。」
🔴 学習者
「それから、自分で説明してみるようにもしています。」
🔵 講師
「燃焼範囲のときにやった方法ですね。」
🔴 学習者
「はい。これが意外と難しいんですよ。」
🔵 講師
「でしょうね。」
🔴 学習者
「読んでいるときは『分かった』と思うのに、いざ自分で説明しようとすると言葉が出てこないんです。」
🔵 講師
「そこで、自分が分かっていなかった部分に気づけます。」
🔴 学習者
「最近は、ChatGPTに『今から自分の理解を説明するので、間違っているところがあったら指摘してください』みたいに聞くこともあります。」
🔵 講師
「自分から説明する形にしたんですね。」
🔴 学習者
「はい。答えを聞くだけより、そのほうが勉強している感じがあります。」
🔵 講師
「実際、自分の頭を使う場面も増えているでしょう。」
🔴 学習者
「そうですね。」
学習者はノートを開きました。
そこには以前よりも簡潔なメモが並んでいます。
大量に書き写すのではなく、自分が間違えた内容や、理解しにくかったポイントだけが整理されていました。
🔵 講師
「ノートの使い方も変わりました?」
🔴 学習者
「変わりました。前は参考書をかなり書き写していたんです。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「間違えた理由とか、自分が勘違いしていたことを書くようにしています。」
🔵 講師
「それはいい変化ですね。」
🔴 学習者
「ChatGPTに聞くと、自分がどこで勘違いしていたのか分かることがあるので、それを短く書いています。」
🔵 講師
「つまり、AIを使うことで勉強しなくなったのではなく、むしろ自分が勉強すべき場所が見えやすくなったわけですね。」
🔴 学習者
「そうかもしれません。」
🔵 講師
「最初はどう思っていました?」
🔴 学習者
「AIを使うと楽をすることになると思っていました。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「ちょっと違いますね。」
🔵 講師
「どう違います?」
🔴 学習者
「楽をするというより、無駄に悩む時間を減らす感じです。」
🔵 講師
「それは非常に大切な違いです。」
🔴 学習者
「もちろん、自分で考えなきゃいけないところは考えます。覚えるのも自分だし、問題を解くのも自分です。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「でも、『この説明が分からない』というところで30分も40分も止まらなくていい。それだけでも、かなり助かります。」
🔵 講師
「特に社会人の資格勉強では重要ですね。」
🔴 学習者
「勉強できる時間が限られていますからね。」
🔵 講師
「一日30分しか勉強できない日に、その30分すべてを『分からない』で使ってしまうのと、10分で疑問を整理して残り20分を問題演習に使えるのでは大きな違いがあります。」
🔴 学習者
「まさにそれです。」
🔵 講師
「ただ、一つだけ忘れないでください。」
🔴 学習者
「AIの答えを全部信用しない、ですよね?」
🔵 講師
「それもあります。そしてもう一つ。」
🔴 学習者
「何ですか?」
🔵 講師
「AIを使う目的は、AIがないと問題を解けない人になることではありません。」
🔴 学習者
「……ああ。」
🔵 講師
「むしろ逆です。」
🔴 学習者
「AIを使って、自分一人で解けるようになる。」
🔵 講師
「そのとおりです。」
🔴 学習者
「最終的には、試験会場で自分が答えられないと意味がないですからね。」
🔵 講師
「だから、AIを使ったあとには必ず『AIなしでできるか』を確認する。それを習慣にしてください。」
🔴 学習者
「分かりました。」
🔵 講師
「AIが便利になればなるほど、その考え方は重要になります。」
🔴 学習者
「なんとなく、AI時代の勉強って意味が分かってきた気がします。」
🔵 講師
「どんな意味だと思います?」
学習者は少し考えました。
そして、最初に30分間同じページで止まっていた日のことを思い出します。
🔴 学習者
「AIに勉強してもらう時代じゃないんですね。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「AIを使って、自分がもっと効率よく勉強できる時代……という感じでしょうか。」
🔵 講師
「私は、それがとても大切な考え方だと思います。」
🔴 学習者
「じゃあ今日も、まずは自分で問題を解いてみます。」
🔵 講師
「分からなかったら?」
🔴 学習者
「すぐ答えを聞くんじゃなくて、まず自分がどこまで分かっているのか考えます。」
🔵 講師
「それでも分からなかったら?」
🔴 学習者
「AIに説明してもらいます。答えだけじゃなくて、理由や考え方まで。」
🔵 講師
「そして?」
🔴 学習者
「参考書で確認して、最後にもう一度、自分だけで解いてみます。」
🔵 講師
「それなら、AIはかなり役立つ道具になるでしょう。」
学習者は参考書と問題集を開きました。
その横にはスマートフォンがあります。
以前と机の上にあるものは、それほど変わっていません。
参考書があり、問題集があり、ノートがあります。
そこにAIという新しい道具が一つ加わっただけです。
しかし、学び方は変わり始めていました。
分からないから止まるのではなく、質問する。
説明が難しければ、別の説明を求める。
理解できたと思ったら、問題を解く。
間違えたら、その原因を探す。
そして最後は、AIから離れて自分の力で答える。
AI時代の資格勉強とは、AIに答えを任せることではありません。
AIとの対話を利用しながら、自分で理解し、自分で考え、自分で解ける力を育てていくことです。
資格試験に必要なのは、画面に正解を表示させる力ではありません。
試験会場で、自分自身が正解へたどり着く力です。
だからこそAIは、「自分の代わりに考えてくれる存在」としてではなく、
「自分が考えられるようになるための学習パートナー」
として使っていくことが大切なのです。
理論編はこちらから
① AIで資格勉強はどう変わるのか(理論編)
資格試験の勉強と聞くと、どのような方法を思い浮かべるでしょうか。 参考書を読む。 重要な部分に線を引く。 ノートにまとめる。 問題集を何度も解く。 分からないところがあれば、参考書を読み直す。 こうした方法は、これまで多 […]
資格取得のための家庭教師やってます
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