はじめに
万能性がありそうな気もしますが・・・。
効率は良くなったような気がします。
そうですね。うまく使えてるってことでしょうか。
でも・・・。どこまで信用していいのか・・・。
それは大きな問題ですよね。ちょっと検討してみましょう。
- 対象者: 30代の社会人
- 受験資格: 危険物取扱者乙種第4類(乙4)
- 性格・特徴: 真面目で、新しい便利な道具を積極的に取り入れるタイプ
- 当初の課題: ChatGPTの回答を十分に確認せず、学習を進めてしまう
- 学習テーマ: AIに任せることと、自分で確認・判断することの区別
はじめに

ChatGPTを資格勉強に使い始めると、最初は分からない言葉を質問する程度だった人も、少しずつ使い方が広がっていきます。
難しい専門用語を説明してもらう。
練習問題を作ってもらう。
学習計画を考えてもらう。
間違えた問題を解説してもらう。
どれも便利な使い方です。
しかし、便利だからこそ、ある問題が生まれます。
それは、「AIができることなら、何でもAIに任せてしまおう」と考えることです。
ChatGPTは質問に対して、自然で分かりやすい文章を返してくれます。
そのため、回答を読んでいるうちに、内容もすべて正しいように感じることがあります。
また、AIが作った練習問題を解いて正解が増えると、実際の試験でも十分に得点できるようになったと思い込んでしまうこともあります。
ところが、AIが作った問題で正解できることと、本番の試験問題を解けることは必ずしも同じではありません。
今回は、乙4の勉強にChatGPTを積極的に取り入れた学習者が、AIの便利さと限界に気づいていく過程を見ていきましょう。
ChatGPTに任せれば、勉強が楽になる?
🔴 学習者
「先生、最近、乙4の勉強がかなり楽になってきました。」
🔵 講師
「それはよかったですね。何か勉強方法を変えたんですか?」
🔴 学習者
「ChatGPTを使うようになってからです。もう、いろいろなことをやってもらっています。」
🔵 講師
「たとえば、どんなことですか?」
🔴 学習者
「まず、分からないところの説明ですね。それから練習問題も作ってもらっています。あと、勉強計画も考えてもらいました。」
🔵 講師
「かなり活用していますね。」
🔴 学習者
「はい。最近は参考書を読む時間も減りました。」
🔵 講師
「そうなんですか?」
🔴 学習者
「参考書って、説明が難しいじゃないですか。でもChatGPTなら、簡単に説明してくれるんです。」
🔵 講師
「それは便利ですね。ただ、参考書を読む時間が減ったというのは、少し気になります。」
🔴 学習者
「どうしてですか?」
🔵 講師
「AIの説明を読んだあと、参考書で確認していますか?」
🔴 学習者
「最初のころはしていました。でも最近は、あまりしていません。」
🔵 講師
「なぜでしょう?」
🔴 学習者
「ChatGPTの説明のほうが分かりやすいからです。それに、わざわざ同じことを参考書で読み直すのも時間がもったいない気がして。」
🔵 講師
「なるほど。では、ChatGPTの説明が間違っていたらどうしますか?」
🔴 学習者
「えっ?」
🔵 講師
「AIの説明が間違っている可能性もありますよね。」
🔴 学習者
「それは聞いたことがあります。でも、そんなに頻繁に間違えるものなんですか?」
🔵 講師
「間違いの頻度は質問内容などによって変わります。大切なのは、間違える可能性があるということです。」
🔴 学習者
「でも、説明がすごく自然なんですよ。自信を持って答えているように見えますし。」
🔵 講師
「そこが注意点です。AIは、間違っている内容でも自然な文章で説明することがあります。」
🔴 学習者
「じゃあ、分かりやすい説明だから正しいとは限らないんですね。」
🔵 講師
「そうです。分かりやすさと正確さは、別の問題です。」
🔴 学習者
「うーん……。でも、毎回全部を確認していたら、AIを使う意味がなくなりませんか?」
🔵 講師
「いい質問ですね。すべての説明を最初から調べ直す必要はありません。ただし、間違えると試験の得点に直接影響する重要な知識は、信頼できる教材で確認する必要があります。」
🔴 学習者
「重要な知識というと?」
🔵 講師
「たとえば、法令の条件や数値、危険物の性質、計算問題の答えなどです。」
🔴 学習者
「なるほど。」
🔵 講師
「ところで、ChatGPTに作ってもらった問題は、どのくらい解けていますか?」
🔴 学習者
「結構できていますよ。昨日は10問中9問正解でした。」
🔵 講師
「それはいいですね。では、問題集のほうはどうですか?」
🔴 学習者
「問題集ですか?」
🔵 講師
「はい。参考書に付いている問題や、市販の問題集です。」
🔴 学習者
「最近はあまりやっていません。」
🔵 講師
「なぜですか?」
🔴 学習者
「ChatGPTが問題を作ってくれるので、それで十分かなと思っていました。」
🔵 講師
「では、今日は問題集を使って、今の理解度を確認してみましょうか。」
🔴 学習者
「いいですよ。AIの問題で9割正解できていますから、結構いけると思います。」
学習者は自信を持って問題集を開きました。
ところが、数問解いたところで表情が変わり始めました。
🔴 学習者
「あれ……。」
🔵 講師
「どうしました?」
🔴 学習者
「思ったより難しいですね。」
🔵 講師
「どこが難しいですか?」
🔴 学習者
「ChatGPTが作ってくれた問題と、聞き方が違うんです。」
🔵 講師
「なるほど。」
🔴 学習者
「AIの問題だと、説明してもらったことをそのまま聞かれる感じだったんです。でも、こっちは少し考えないと答えられません。」
🔵 講師
「そこに気づいたのは大切ですね。」
🔴 学習者
「AIの問題で9割正解できたから、結構実力が付いたと思っていたんですけど……。」
🔵 講師
「AIの問題で正解できたこと自体は、無駄ではありません。ただ、それだけで試験全体の実力を判断するのは難しいんです。」
🔴 学習者
「問題の難しさが違うからですか?」
🔵 講師
「それもあります。AIが作った問題は、出題範囲や難易度が偏ることもあります。さらに、正解や解説自体が間違っている可能性もあります。」
🔴 学習者
「そう考えると、AIの問題だけで勉強するのは危ないですね。」
🔵 講師
「追加の練習には便利です。でも、実力確認の中心は信頼できる問題集などに置いたほうがいいでしょう。」
🔴 学習者
「便利だからって、全部を置き換えればいいわけじゃないんですね。」
AIが答えたことは、どこまで信用していいのか
問題集を解き終えたあと、学習者は自分のノートを開きました。
そこにはChatGPTから教えてもらった内容が、いくつも書き込まれていました。
🔴 学習者
「先生、ちょっと気になってきました。」
🔵 講師
「何でしょう?」
🔴 学習者
「今までChatGPTに教えてもらってノートに書いたことって、全部確認し直したほうがいいんですか?」
🔵 講師
「全部を一度に確認する必要はありません。まずは、正確さが特に重要なところから確認していきましょう。」
🔴 学習者
「どこから始めればいいですか?」
🔵 講師
「法令に関する内容はどうでしょう?」
🔴 学習者
「ああ、指定数量とか、貯蔵や取扱いに関する決まりですね。」
🔵 講師
「そうです。法令には条件や例外があります。説明を簡単にすると、その条件が抜けてしまう場合もあります。」
🔴 学習者
「そういえば、ChatGPTに法令を質問したとき、参考書よりずっと短い説明が返ってきたことがあります。」
🔵 講師
「そのとき、どうしました?」
🔴 学習者
「短くて分かりやすかったので、そのままノートに書きました。」
🔵 講師
「では、その内容を確認してみましょう。」
学習者はノートと参考書を並べました。
そして、同じ項目を読み比べていきます。
🔴 学習者
「あれ? 参考書には条件がいくつか書いてありますね。」
🔵 講師
「AIの説明にはありましたか?」
🔴 学習者
「いえ、そこまでは書いてありません。」
🔵 講師
「では、その説明だけを覚えるとどうなるでしょう?」
🔴 学習者
「条件が違う問題が出たら、間違えるかもしれません。」
🔵 講師
「そうですね。」
🔴 学習者
「でも、ChatGPTが説明を省略しただけで、間違っているとは限らないですよね?」
🔵 講師
「そのとおりです。説明が短いこと自体が間違いとは限りません。ただ、試験に必要な条件が抜けているなら、その説明だけでは不十分です。」
🔴 学習者
「なるほど。分かりやすい説明と、試験に必要な正確な説明は、必ずしも同じじゃないんですね。」
🔵 講師
「そういうことです。」
🔴 学習者
「じゃあ、ChatGPTにはどう質問すればよかったんでしょう?」
🔵 講師
「たとえば、『この説明で省略されている条件や例外はありますか?』と質問する方法があります。」
🔴 学習者
「なるほど。」
🔵 講師
「ただし、AIに確認しただけで終わらせてはいけません。重要な条件は参考書や公式情報で確認します。」
🔴 学習者
「結局、最後に確認するのは自分なんですね。」
🔵 講師
「そうです。AIは確認を手伝うこともできますが、正確さを保証してくれるわけではありません。」
🔴 学習者
「じゃあ、計算問題はどうですか?」
🔵 講師
「計算問題も注意が必要です。」
🔴 学習者
「ChatGPTなら計算もできるんじゃないですか?」
🔵 講師
「計算を手伝うことはできます。でも、式の立て方を間違えたり、計算を間違えたりする可能性があります。」
🔴 学習者
「じゃあ、答えを聞くだけじゃ危ないですね。」
🔵 講師
「はい。計算問題では、途中式を確認することが重要です。」
🔴 学習者
「たとえば、『途中式を省略せずに説明してください』って聞けばいいんですか?」
🔵 講師
「いいですね。それに加えて、自分でも計算し直してみることです。」
🔴 学習者
「なるほど。」
🔵 講師
「ところで、学習計画はどうですか? ChatGPTに作ってもらったと言っていましたね。」
🔴 学習者
「はい。試験までの計画を作ってもらいました。」
🔵 講師
「その計画は順調に進んでいますか?」
🔴 学習者
「それが……少し遅れています。」
🔵 講師
「どうしてでしょう?」
🔴 学習者
「一日30分の予定だったんですけど、仕事で疲れてできない日があって。」
🔵 講師
「そのことはAIに伝えましたか?」
🔴 学習者
「いいえ。最初に計画を作ってもらって、それをそのまま使っています。」
🔵 講師
「では、計画を調整してもらうといいかもしれませんね。」
🔴 学習者
「AIに作ってもらった計画を、途中で変えてもいいんですか?」
🔵 講師
「もちろんです。学習計画は、作ったとおりに守ることが目的ではありません。合格に向けて勉強を続けるためのものです。」
🔴 学習者
「確かに、計画を守れなかったからといって勉強をやめるわけにはいきませんよね。」
🔵 講師
「そうです。AIに『仕事の都合で予定より3日遅れています。残りの期間で無理なく続けられるように計画を調整してください』と頼むこともできます。」
🔴 学習者
「それなら助かります。」
🔵 講師
「ただし、その計画が現実的かどうかを判断するのは自分です。」
🔴 学習者
「AIには、自分がどれくらい疲れているかまでは分かりませんからね。」
🔵 講師
「そのとおりです。」
🔴 学習者
「先生、なんとなく分かってきました。」
🔵 講師
「何がですか?」
🔴 学習者
「ChatGPTって、いろいろなことができるけど、だからといって全部任せていいわけじゃないんですね。」
🔵 講師
「そうですね。」
🔴 学習者
「でも、どこまで任せていいのか、まだちょっと迷います。」
🔵 講師
「では、今から実際に整理してみましょう。」
🔴 学習者
「どうやってですか?」
🔵 講師
「あなたが普段ChatGPTに頼んでいることを、一つずつ挙げてみてください。」
🔴 学習者
「分かりました。まず、分からない専門用語を説明してもらうことです。」
🔵 講師
「それはどう思いますか?」
🔴 学習者
「AIに任せていいと思います。ただし、重要な定義は参考書で確認する。」
🔵 講師
「いいですね。では、練習問題を作ってもらうことは?」
🔴 学習者
「それも使っていい。でも、AIが作った問題だけで実力を判断しない。」
🔵 講師
「では、法令の最新情報を確認することは?」
🔴 学習者
「それは……公式情報を確認する必要があります。」
🔵 講師
「では、勉強計画を作ることは?」
🔴 学習者
「AIに手伝ってもらってもいい。でも、実際に続けられるかどうかは自分で判断する。」
🔵 講師
「かなり整理できてきましたね。」
🔴 学習者
「そうですね。でも先生、もう一つ気になることがあります。」
🔵 講師
「何でしょう?」
🔴 学習者
「ChatGPTが作った問題で正解して、ChatGPTに『よく理解できています』って言われたら、やっぱりうれしいんですよ。」
🔵 講師
「そうでしょうね。」
🔴 学習者
「でも、今日みたいに問題集を解いたら思ったほどできないこともある。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「じゃあ、AIに褒められたり、『理解できています』と言われたりしても、それだけで安心しちゃいけないんですね。」
🔵 講師
「そうです。AIの評価は参考になりますが、実力を保証するものではありません。」
🔴 学習者
「……そう考えると、今まで少しAIを信用しすぎていたのかもしれません。」
🔵 講師
「それに気づけたのは、大きな収穫ですよ。」
🔴 学習者
「じゃあ先生、これからはAIを使うときに、一つだけ自分に質問することにします。」
🔵 講師
「どんな質問ですか?」
🔴 学習者
「**『これはAIに手伝ってもらうことなのか、それとも自分で確認しなければいけないことなのか』**です。」
🔵 講師
「いい考え方ですね。」
🔴 学習者
「でも、実際の勉強では、その判断が難しいこともありそうです。」
🔵 講師
「では、今使っている参考書と問題集を使って、もう少し具体的に考えてみましょう。」
🔴 学習者
「はい。お願いします。」
AIに任せること、自分で確認すること
🔵 講師
「では、今使っている参考書と問題集を使って、もう少し具体的に考えてみましょう。」
🔴 学習者
「はい。お願いします。」
🔵 講師
「まず、普段の勉強を思い出してください。最初に何をしていますか?」
🔴 学習者
「最近は、ChatGPTに今日勉強する内容を決めてもらっています。」
🔵 講師
「そのあと、どうしています?」
🔴 学習者
「AIに説明してもらって、問題を作ってもらって、それを解いています。」
🔵 講師
「参考書はいつ使いますか?」
🔴 学習者
「分からないときに少し見るくらいです。」
🔵 講師
「では、今日は順番を少し変えてみましょう。」
🔴 学習者
「どんな順番ですか?」
🔵 講師
「まず参考書で基本を確認します。そのあと、分からなかったところをChatGPTに質問します。そして最後に、問題集を自分で解きます。」
🔴 学習者
「AIから始めるんじゃないんですね。」
🔵 講師
「AIから始めてもよい場合はあります。ただ、今のあなたはAIの説明をそのまま覚えることが増えているようなので、学習の基準になる教材を先に確認してみましょう。」
🔴 学習者
「分かりました。」
学習者は参考書の物理・化学のページを開きました。
今回のテーマは、引火点と発火点です。
🔴 学習者
「この二つ、何度も勉強しているんですけど、ときどき混乱するんですよ。」
🔵 講師
「では、まず参考書の定義を読んでみてください。」
🔴 学習者
「はい。」
学習者は二つの用語の説明を読みました。
しかし、しばらくすると首をかしげました。
🔴 学習者
「言葉としては分かるんですけど、問題になると迷うんです。」
🔵 講師
「では、ChatGPTに何を手伝ってもらいましょうか?」
🔴 学習者
「二つの違いを、もっと簡単に説明してもらいます。」
🔵 講師
「いいですね。質問してみてください。」
学習者は次のように入力しました。
ChatGPTへの質問例
「危険物乙4を勉強しています。引火点と発火点の違いが混乱します。参考書の定義を確認したうえで理解したいので、初心者にも分かる身近な例を使って説明してください。」
回答を読みながら、学習者は何度かうなずきました。
🔴 学習者
「ああ、なるほど。引火点は火を近づけたときに引火することに関係していて、発火点は火を近づけなくても発火する温度に関係しているんですね。」
🔵 講師
「基本的な違いはつかめましたね。ただし、試験ではそれぞれの定義を正確に理解する必要があります。」
🔴 学習者
「じゃあ、もう一度参考書を見ます。」
🔵 講師
「そうしましょう。」
学習者はAIの説明と参考書を見比べました。
🔴 学習者
「さっきより参考書の文章が分かりやすくなりました。」
🔵 講師
「それがAIの得意な使い方の一つです。」
🔴 学習者
「AIの説明でイメージをつかんで、参考書で正確な内容を確認する。」
🔵 講師
「そうです。」
🔴 学習者
「じゃあ、次はChatGPTに問題を作ってもらいますか?」
🔵 講師
「その前に、問題集を解いてみませんか?」
🔴 学習者
「えっ、先に問題集ですか?」
🔵 講師
「はい。今の説明でどこまで理解できたか、自分で確認してみましょう。」
学習者は問題集を開きました。
最初の問題には正解できました。
しかし、次の問題では選択肢を二つまで絞ったところで手が止まりました。
🔴 学習者
「また迷いました。」
🔵 講師
「どこで迷いましたか?」
🔴 学習者
「引火点と発火点の違いは分かるんです。でも、問題文の説明が正しいかどうかを判断するときに、自信がなくなります。」
🔵 講師
「では、その迷った理由をChatGPTに説明してみましょう。」
🔴 学習者
「答えを聞くんじゃなくて?」
🔵 講師
「そうです。まずは考えるためのヒントをもらいましょう。」
学習者は、自分が迷った二つの選択肢について、どこが分からないのかを入力しました。
そして、最後にこう付け加えました。
「正解はまだ教えないでください。自分で判断するためのヒントを一つだけください。」
🔴 学習者
「ヒントが出ました。」
🔵 講師
「どうですか?」
🔴 学習者
「……あ、分かりました。問題文のどこに注目すればいいのか、見落としていました。」
🔵 講師
「では、自分で答えを選んでみてください。」
学習者は選択肢を選び、問題集の解答で確認しました。
🔴 学習者
「正解でした!」
🔵 講師
「よかったですね。」
🔴 学習者
「今回はChatGPTに答えを教えてもらわなくても解けました。」
🔵 講師
「AIに手伝ってもらいながら、最後は自分で判断できましたね。」
🔴 学習者
「そうですね。今までとは少し違う感じがします。」
🔵 講師
「何が違いますか?」
🔴 学習者
「今まではAIが答えを出してくれるから安心していたんです。でも今回は、自分で答えを出せたから安心できました。」
🔵 講師
「その違いは大切ですね。」
そのあと、講師はもう一つの課題を出しました。
🔵 講師
「では、今度は法令について考えてみましょう。」
🔴 学習者
「法令ですか?」
🔵 講師
「はい。乙4では、指定数量や貯蔵・取扱いに関する決まりなど、正確に覚える必要がある内容が多いですね。」
🔴 学習者
「数字や条件がたくさんあって大変です。」
🔵 講師
「そうですね。では、ChatGPTに法令の説明をしてもらったとします。その内容が参考書と違っていたら、どうしますか?」
🔴 学習者
「まず、どこが違うのか確認します。」
🔵 講師
「そのあと?」
🔴 学習者
「公式情報を確認します。」
🔵 講師
「いいですね。」
🔴 学習者
「でも先生、参考書とAIのどちらが正しいのか、自分では判断できないこともありますよね。」
🔵 講師
「あります。その場合は、無理に自分だけで判断しようとせず、試験実施機関の情報や法令の原文など、信頼できる資料に当たることが大切です。」
🔴 学習者
「AIに『最新の法律を教えて』と聞くだけではダメなんですね。」
🔵 講師
「そうです。AIが最新の情報を正確に把握しているとは限りません。」
🔴 学習者
「じゃあ、法令の勉強でChatGPTを使う意味はないんですか?」
🔵 講師
「そんなことはありません。法令の難しい文章を理解するために使えます。」
🔴 学習者
「どういうことです?」
🔵 講師
「たとえば、公式の条文を確認したあと、その文章の意味が分からなければ、AIに分かりやすく説明してもらうことができます。」
🔴 学習者
「ああ、そういう順番ですね。」
🔵 講師
「はい。ただし、AIによる言い換えで条件が省略されたり、意味が変わったりする可能性もあります。最後は元の文章と照らし合わせます。」
🔴 学習者
「つまり、正しい情報を確認することと、その情報を理解することは別なんですね。」
🔵 講師
「そのとおりです。」
🔴 学習者
「公式情報で正確さを確認する。ChatGPTで理解を助けてもらう。」
🔵 講師
「そういう役割分担です。」
🔴 学習者
「ようやく、何をAIに任せていいのか分かってきました。」
AIを使いこなすとは、任せる範囲を決められること
それから学習者は、勉強方法を少しずつ変えていきました。
以前は、ChatGPTを開くところから勉強を始めていました。
しかし今は、最初に参考書や問題集を確認する時間を設けています。
分からない部分があればAIに質問します。
練習問題を追加したいときには、AIに作ってもらうこともあります。
ただし、AIが作った問題だけで実力を判断することはやめました。
数日後、学習者は講師に話しかけました。
🔴 学習者
「先生、勉強方法を変えてから、ちょっと不思議なことが起きています。」
🔵 講師
「何が起きていますか?」
🔴 学習者
「ChatGPTを使う時間は前より減ったんですけど、問題集を解く時間は増えたんです。」
🔵 講師
「それはいい変化ですね。」
🔴 学習者
「最初は、AIをたくさん使ったほうが効率的だと思っていました。」
🔵 講師
「今はどうですか?」
🔴 学習者
「必要なときだけ使ったほうが、勉強が進む気がします。」
🔵 講師
「どうしてそう思うんでしょう?」
🔴 学習者
「前は、分からないことがあると全部AIに聞いていたんです。だから説明を読む時間が長くなっていました。」
🔵 講師
「なるほど。」
🔴 学習者
「でも今は、まず自分で考えるようにしています。それでも分からなかったら質問する。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「そうすると、何を質問すればいいのかも、前よりはっきりするんですよ。」
🔵 講師
「いいところに気づきましたね。」
🔴 学習者
「あと、問題集の正答率も少しずつ上がってきました。」
🔵 講師
「それはうれしいですね。」
🔴 学習者
「もちろん、まだ苦手なところはあります。でも、AIの問題で正解できたから大丈夫、とは思わなくなりました。」
🔵 講師
「実際の問題集で確認するようになったんですね。」
🔴 学習者
「はい。自分の実力を確かめるには、やっぱり自分で問題を解かないといけないですから。」
講師は、学習者のノートを見ました。
以前のノートには、ChatGPTから教えてもらった説明がたくさん書かれていました。
今のノートには、それに加えて、自分が間違えた理由や、参考書で確認した内容が書き込まれています。
🔵 講師
「ノートも変わりましたね。」
🔴 学習者
「そうなんです。最近は三つに分けて書いています。」
🔵 講師
「三つですか?」
🔴 学習者
「はい。『自分で分かったこと』『AIに教えてもらったこと』『参考書や公式情報で確認したこと』です。」
🔵 講師
「それはいい方法ですね。」
🔴 学習者
「こうしておくと、AIの説明を読んだだけなのか、自分で確認できたのかが分かるんです。」
🔵 講師
「その区別は大切です。」
🔴 学習者
「前は全部まとめて『覚えたこと』にしていました。」
🔵 講師
「今は違いますね。」
🔴 学習者
「はい。説明を読んだだけなら、まだ自分で問題を解けるか分かりませんから。」
🔵 講師
「そのとおりです。」
🔴 学習者
「先生、最初はChatGPTに全部任せれば、勉強が楽になると思っていました。」
🔵 講師
「そう言っていましたね。」
🔴 学習者
「でも今は、少し考え方が変わりました。」
🔵 講師
「どのように?」
🔴 学習者
「ChatGPTに任せると楽になることもあります。でも、任せてはいけないところまで任せると、結局、自分の力がつかないんですね。」
🔵 講師
「そうですね。」
🔴 学習者
「だから、AIにできることを全部やってもらうんじゃなくて、自分に必要なことだけ手伝ってもらう。」
🔵 講師
「それが大切です。」
🔴 学習者
「たとえば、専門用語の説明はAIに手伝ってもらう。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「練習問題を追加したいときにも使う。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「でも、正確な法令や数値は信頼できる資料で確認する。」
🔵 講師
「そうです。」
🔴 学習者
「そして、本当に理解できたかどうかは、自分で問題を解いて確かめる。」
🔵 講師
「その考え方ができれば、AIを使った勉強もずいぶん変わると思いますよ。」
🔴 学習者
「なんだか、AIを使うのが前より楽しくなりました。」
🔵 講師
「どうしてですか?」
🔴 学習者
「前は、AIが何でも答えてくれることが楽しかったんです。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「AIに手伝ってもらったあと、自分で問題を解けるようになるのが楽しいんです。」
🔵 講師
「それは大きな違いですね。」
🔴 学習者
「はい。ようやく、自分が勉強している感じがします。」
その日の学習を終える前に、講師は一つだけ質問しました。
🔵 講師
「では、最後に聞きましょう。ChatGPTにできることと、できないことの違いは何だと思いますか?」
学習者は少し考えました。
🔴 学習者
「そうですね……。」
しばらくして、ゆっくり答えます。
🔴 学習者
「ChatGPTは、勉強を手伝うことができます。」
🔵 講師
「はい。」
🔴 学習者
「でも、自分の代わりに知識を覚えたり、本番で問題を解いたりすることはできません。」
🔵 講師
「そうですね。」
🔴 学習者
「それに、AIが教えてくれたことが全部正しいとは限らないから、重要なことは自分で確認する必要があります。」
🔵 講師
「そのとおりです。」
🔴 学習者
「だから、ChatGPTを使うときは、『これはAIに任せていいことなのか』を考えるようにします。」
🔵 講師
「いいですね。」
🔴 学習者
「そして最後は、自分で答えを出せるようにする。」
🔵 講師
「それが資格勉強の目的ですからね。」
学習者はノートの最後に、一つの言葉を書きました。
「AIにできることと、自分ができるようになるべきことは違う。」
ChatGPTは、資格勉強を効率化するための便利な道具です。
分からない内容を説明してもらうこともできます。
練習問題を作ってもらうこともできます。
勉強計画を整理してもらうこともできます。
しかし、AIが作った問題や解説が必ず正しいとは限りません。
最新の法令や試験制度については、公式情報を確認する必要があります。
そして何より、資格試験で問題を解くのは学習者自身です。
だからこそ、AIを使うときには、次の三つを意識することが大切です。
一つ目は、AIが得意な作業を手伝ってもらうこと。
二つ目は、正確さが重要な情報を自分で確認すること。
三つ目は、最後にAIを使わず、自分で問題を解くこと。
この三つを意識するだけでも、AIとの付き合い方は大きく変わります。
ChatGPTを使いこなすとは、すべてをAIに任せることではありません。
AIに任せることと、自分が責任を持って取り組むことを区別できるようになることです。
そして、その区別ができるようになったとき、ChatGPTは単なる便利な質問相手ではなく、自分自身の学習を支える心強い道具になるのです。
理論編はこちらから
③ 資格勉強でChatGPTにできること・できないこと(理論編)
はじめに ChatGPTを資格勉強に使い始めると、その便利さに驚くことがあります。 分からない言葉を質問すれば説明してくれる。 難しい文章を簡単な言葉に言い換えてくれる。 練習問題を作ってくれる。 学習計画を考える手伝い […]
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