はじめに
乙四の参考書を買おうと思って調べたら、余計に分からなくなりました・・・。
どれを選べばいいか・・・。
なかなか難しいですよね。
いいのが分からん・・・。
じゃあ検討してみようか♪
はじめに

「乙四の参考書を買おうと思って調べたら、余計に分からなくなりました。」
資格試験の勉強を始めるとき、意外に時間を使ってしまうのが「教材選び」です。
書店へ行けば、似たようなタイトルの参考書が何冊も並んでいます。
インターネットで調べれば、
「初心者にはこれ」
「この一冊だけで合格できた」
「この本は説明が足りない」
「過去問中心で十分」
と、さまざまな意見が出てきます。
AIに聞けば候補を整理することもできますが、選択肢が増えすぎて、逆に決められなくなることもあります。
そして、
「失敗したくないから、もう少し調べよう」
と考えているうちに、肝心の勉強が始まらない。
これは、資格勉強で起こりやすい最初の遠回りの一つです。
大切なのは、「世の中で一番評価されている参考書」を探すことではありません。
自分が理解でき、毎日使えて、問題演習につなげられる一冊を選ぶことです。
今回は、乙四の参考書を決められず、何冊も候補を比較している学習者と講師の会話から、「自分に合う参考書」の見つけ方を考えていきます。
「一番おすすめの参考書を教えてください」
ある日の夕方。
学習者は、スマートフォンの画面を見ながら教室へやってきました。
画面には、乙四の参考書を紹介するページがいくつも開かれています。
🔴 学習者
「先生、質問があります。」
🔵 講師
「何でしょう。」
🔴 学習者
「乙四で一番いい参考書って、どれですか?」
🔵 講師
「いきなり難しい質問ですね。」
🔴 学習者
「難しいんですか?」
🔵 講師
「『一番いい』を決めるには、もう少し情報が必要です。」
🔴 学習者
「でも、合格者が一番使っている本とかありますよね?」
🔵 講師
「人気のある本はあります。ただ、人気があることと、あなたに一番合うことは別です。」
🔴 学習者
「そうなんですか?」
🔵 講師
「例えば、文章が多くても詳しく説明してくれる参考書と、図やイラスト中心で要点を短く説明する参考書なら、どちらが好きですか?」
🔴 学習者
「たぶん図が多い方です。」
🔵 講師
「では、文章中心の参考書がランキング一位だったら?」
🔴 学習者
「……使いにくいかもしれません。」
🔵 講師
「そういうことです。」
🔴 学習者
「実は、もう三日くらい参考書を調べています。」
🔵 講師
「三日ですか。」
🔴 学習者
「はい。
レビューもかなり読みました。」
🔵 講師
「何冊くらい候補がありますか?」
🔴 学習者
「今のところ五冊です。」
🔵 講師
「かなりありますね。」
🔴 学習者
「でも、どれも良さそうなんですよ。」
🔵 講師
「五冊それぞれの特徴は分かりますか?」
🔴 学習者
「だいたいは。
これは初心者向け。
これは問題が多い。
これは説明が詳しい。
これは図が多い。
これは合格者のレビューが多いです。」
🔵 講師
「では、あなたが参考書に一番求めているものは何ですか?」
🔴 学習者
「……考えたことがありませんでした。」
🔵 講師
「今まで資格試験の勉強をしたことはありますか?」
🔴 学習者
「ほとんどありません。」
🔵 講師
「化学は得意でした?」
🔴 学習者
「苦手でした。
学生時代もあまり好きではなかったです。」
🔵 講師
「長い文章を読むのは?」
🔴 学習者
「それもあまり得意ではありません。」
🔵 講師
「では、今の話だけでも条件が見えてきますね。」
🔴 学習者
「どんな条件ですか?」
🔵 講師
「初学者でも理解しやすい。
物理・化学の説明が分かりやすい。
文章だけではなく、図や表がある。
重要なところが見つけやすい。」
🔴 学習者
「ああ……確かに。」
🔵 講師
「ランキングを見る前に、自分の条件を決めた方が選びやすいでしょう。」
🔴 学習者
「でも、簡単な参考書を選ぶと不安なんです。」
🔵 講師
「何が不安ですか?」
🔴 学習者
「本当に合格できるのかなって。」
🔵 講師
「では、難しい参考書なら安心ですか?」
🔴 学習者
「内容が詳しいので……。」
🔵 講師
「読めなくても?」
🔴 学習者
「それは困ります。」
🔵 講師
「例えば、詳しいけれど一ページ読むのに20分かかる本と、必要な内容が整理されていて10分で数ページ進められる本があります。どちらを毎日使えそうですか?」
🔴 学習者
「後者です。」
🔵 講師
「参考書は持っているだけでは意味がありません。」
🔴 学習者
「使って初めて意味がある。」
🔵 講師
「そうです。」
学習者はスマートフォンを見ながら、候補の参考書をもう一度確認しました。
🔴 学習者
「先生、これなんですが、レビューではかなり評価が高いです。」
🔵 講師
「中身は見ましたか?」
🔴 学習者
「見ていません。」
🔵 講師
「では、まだ自分に合うかは分からないですね。」
🔴 学習者
「レビューだけではダメですか?」
🔵 講師
「レビューは参考になります。でも、その人とあなたでは知識も読み方も違います。」
🔴 学習者
「確かに。」
🔵 講師
「可能なら書店などで、実際に数ページ読んでみましょう。」
🔴 学習者
「どこを見ればいいですか?」
🔵 講師
「あなたの場合なら、苦手だと思っている物理・化学のページを見るといいでしょう。」
🔴 学習者
「得意そうなところじゃなくて?」
🔵 講師
「苦手なところの説明が理解できるかを確認した方が、その本との相性を判断しやすいです。」
🔴 学習者
「なるほど。
最初のページだけ見て、きれいだから買おうとしていました。」
🔵 講師
「デザインも大切ですが、実際に勉強するページを確認しましょう。」
🔴 学習者
「文字の大きさとかも見た方がいいですか?」
🔵 講師
「もちろんです。
文字が小さすぎないか。
一ページに情報が詰まりすぎていないか。
図や表が理解しやすいか。
重要事項が分かりやすいか。
そういうところも見ます。」
🔴 学習者
「内容以外も結構重要なんですね。」
🔵 講師
「毎日使うものですからね。」
🔴 学習者
「先生だったら、一冊だけ買いますか?」
🔵 講師
「最初は基本となる一冊を決めます。」
🔴 学習者
「参考書を二冊使った方が詳しく勉強できませんか?」
🔵 講師
「できます。
ただし、時間も二倍近く必要になる可能性があります。」
🔴 学習者
「同じ内容を二回読むことになりますもんね。」
🔵 講師
「そして、説明が違うと迷うこともあります。」
🔴 学習者
「では一冊だけ?」
🔵 講師
「まずは一冊を軸にします。
使ってみて本当に足りない部分が見つかったら、その部分だけ別教材で補えばいいでしょう。」
🔴 学習者
「問題集は別に必要ですか?」
🔵 講師
「参考書の中に十分な問題があるかによります。ただ、参考書と問題演習は役割を分けて考えましょう。」
🔴 学習者
「どういうことですか?」
🔵 講師
「参考書は理解するため。
問題は、本当に解けるか確認するため。」
🔴 学習者
「参考書を読んだだけではダメ?」
🔵 講師
「読んで分かったつもりでも、問題になると答えられないことがあります。」
🔴 学習者
「ありますね。」
🔵 講師
「だから、参考書選びでも『問題演習へつなげやすいか』を見るといいでしょう。」
「良い参考書」を探すのをやめたら、一冊が決まった
数日後。
学習者は一冊の参考書を持って教室へやってきました。
🔵 講師
「決まりましたか?」
🔴 学習者
「はい。結局これにしました。」
🔵 講師
「五冊からどうやって絞りました?」
🔴 学習者
「まず、自分の条件を書きました。」
🔵 講師
「どんな条件ですか?」
🔴 学習者
「初心者向け。
図が多い。
物理・化学の説明が分かりやすい。
重要なところが見つけやすい。
問題も少し付いている。」
🔵 講師
「かなり具体的ですね。」
🔴 学習者
「それで候補を三冊まで減らしました。」
🔵 講師
「最後はどうしました?」
🔴 学習者
「実際に中身を見ました。」
🔵 講師
「どのページを?」
🔴 学習者
「物理・化学です。」
🔵 講師
「どうでした?」
🔴 学習者
「面白いくらい違いました。」
🔵 講師
「どんな違いがありましたか?」
🔴 学習者
「一冊はレビューがすごく良かったんですが、自分には文章が多すぎました。」
🔵 講師
「なるほど。」
🔴 学習者
「もう一冊は図が多かったんですが、説明が短すぎて、逆に『どうしてそうなるの?』という感じでした。」
🔵 講師
「そして今の一冊は?」
🔴 学習者
「図もあるし、その下に説明もあって、自分には一番読みやすかったです。」
🔵 講師
「ランキングでは何位でした?」
🔴 学習者
「分かりません。」
🔵 講師
「気にならなくなりました?」
🔴 学習者
「はい。自分が読めるかどうかの方が重要だと思ったので。」
🔵 講師
「では、実際に使ってみましたか?」
🔴 学習者
「昨日30分だけやりました。」
🔵 講師
「どうでした?」
🔴 学習者
「思っていたより進みました。」
🔵 講師
「全部覚えましたか?」
🔴 学習者
「全然です。」
🔵 講師
「それでも問題ありません。」
🔴 学習者
「今回は、最初から全部覚えようとしませんでした。」
🔵 講師
「前に話した最短合格の考え方ですね。」
🔴 学習者
「はい。
まず読んで、そのあと確認問題を解きました。」
🔵 講師
「結果は?」
🔴 学習者
「5問中3問正解でした。」
🔵 講師
「間違えた2問は?」
🔴 学習者
「参考書へ戻って確認しました。」
🔵 講師
「それで十分です。」
🔴 学習者
「ただ、一つ困ったことがありました。」
🔵 講師
「何でしょう。」
🔴 学習者
「説明を読んでも、どうしても分からないところがありました。」
🔵 講師
「そこで別の参考書を買いましたか?」
🔴 学習者
「一瞬、買おうと思いました。」
🔵 講師
「一瞬?」
🔴 学習者
「先生に『すぐ教材を増やさない』と言われたのを思い出したので、AIに聞いてみました。」
🔵 講師
「どんなふうに聞きました?」
🔴 学習者
「『この考え方を、化学が苦手な人にも分かるように、身近な例で説明してください』と聞きました。」
🔵 講師
「理解できましたか?」
🔴 学習者
「完全ではありませんが、かなり分かりました。」
🔵 講師
「そのあと参考書へ戻りました?」
🔴 学習者
「はい。
そうしたら、最初より意味が分かりました。」
🔵 講師
「いい使い方ですね。」
🔴 学習者
「AIがあると、参考書を買い足す回数を減らせそうです。」
🔵 講師
「そういう場面はあるでしょう。
ただし、試験制度や法令などの重要事項は、必要に応じて公式情報も確認してください。」
🔴 学習者
「AIの答えを全部そのまま覚えない。」
🔵 講師
「はい。
参考書を学習の軸にして、AIは理解を助ける補助役として使うのが分かりやすいでしょう。」
🔴 学習者
「先生、もう一つ聞いていいですか?」
🔵 講師
「もちろんです。」
🔴 学習者
「SNSで『この参考書だけでは足りない』という投稿を見たんです。」
🔵 講師
「それを見てどう思いました?」
🔴 学習者
「急に不安になりました。」
🔵 講師
「今の参考書をどのくらい使いました?」
🔴 学習者
「まだ30ページくらいです。」
🔵 講師
「では、本当に足りないか判断できますか?」
🔴 学習者
「まだできませんね。」
🔵 講師
「そういうことです。」
🔴 学習者
「資格勉強って、不安になると教材を買いたくなるんですね。」
🔵 講師
「珍しいことではありません。」
🔴 学習者
「新しい本を買うと、なんとなく合格に近づいた気がします。」
🔵 講師
「でも実力は?」
🔴 学習者
「買っただけでは変わりません。」
🔵 講師
「大切なのは本棚に何冊あるかではなく、問題を何問正解できるようになったかです。」
🔴 学習者
「耳が痛いです。」
🔵 講師
「では、新しい参考書が欲しくなったときのルールを一つ作りませんか?」
🔴 学習者
「どんなルールですか?」
🔵 講師
「『なぜ必要なのかを一文で説明できるか』です。」
🔴 学習者
「一文?」
🔵 講師
「例えば、
『今の参考書では計算問題の説明が理解できないので、計算だけ詳しい教材が必要』
なら理由があります。」
🔴 学習者
「『ネットで評判がいいから』は?」
🔵 講師
「今の教材で困っていないなら、急いで買う理由にはなりにくいですね。」
🔴 学習者
「『なんとなく不安だから』も?」
🔵 講師
「まず今の参考書と問題集を使って、不足しているものを確認した方がいいでしょう。」
🔴 学習者
「では、しばらくこの一冊で進めます。」
🔵 講師
「どう使いますか?」
🔴 学習者
「まず読む。
確認問題を解く。
間違えたら戻る。
分からなければAIで説明を変えてもらう。
それでも必要なら別の資料を確認する。」
🔵 講師
「良い流れですね。」
🔴 学習者
「参考書を最初から最後まで完璧にしてから問題集、ではないんですね。」
🔵 講師
「問題を解きながら参考書を使い込んでいきます。」
学習者は、買ったばかりの参考書を開きました。
ところどころに小さな付箋が貼られています。
🔵 講師
「その付箋は?」
🔴 学習者
「問題を間違えて戻ったページです。」
🔵 講師
「もう参考書の使い方が変わっていますね。」
🔴 学習者
「前なら、最初から順番に線を引いていただけだと思います。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「問題を解いて、『ここが必要だった』と思ったところへ戻っています。」
🔵 講師
「その繰り返しで、自分にとって重要なページが見えてきます。」
🔴 学習者
「買ったときは全部同じページだったのに、使っているうちに自分専用の参考書になっていく感じですね。」
🔵 講師
「まさにそうです。」
🔴 学習者
「先生、最初は『最高の参考書を買えば合格できる』と思っていました。」
🔵 講師
「今はどうですか?」
🔴 学習者
「参考書だけでは合格できないと思います。」
🔵 講師
「では、何が必要でしょう。」
🔴 学習者
「自分に合う一冊を決めて、実際に使うことです。」
🔵 講師
「そして?」
🔴 学習者
「読むだけではなく問題を解く。
間違えたら戻る。
分からないところはAIなども使って理解する。
必要なときだけ補助教材を追加する。」
🔵 講師
「十分ですね。」
🔴 学習者
「これからは新しい参考書を探す前に、まずこの一冊をもっと使ってみます。」
🔵 講師
「そうしてみましょう。
しばらく使えば、本当に足りないところと、単にまだ勉強していないだけのところを区別できるようになります。」
🔴 学習者
「分かりました。
今度は参考書を探す時間ではなく、この参考書で問題を解けるようになる時間を増やしてみます。」
一冊に絞ったからこそ見えてきた「本当に足りないもの」
それから二週間ほど経ったころ。
学習者は、いつもの参考書と問題集を持って教室へやってきました。
以前は新品同様だった参考書には、付箋や書き込みがかなり増えています。
ページの端には小さな折り目もあり、よく使うページが自然に開くようになっていました。
🔵 講師
「ずいぶん使い込んできましたね。」
🔴 学習者
「はい。ほぼ毎日開いています。」
🔵 講師
「新しい参考書は買いましたか?」
🔴 学習者
「まだ買っていません。」
🔵 講師
「以前なら、もう何冊か増えていたかもしれませんね。」
🔴 学習者
「たぶん増えていました。」
🔵 講師
「今の一冊で困ることはありませんでしたか?」
🔴 学習者
「ありました。」
🔵 講師
「では、なぜ買い足さなかったんでしょう。」
🔴 学習者
「困ったらすぐ新しい本、ではなくて、『何に困っているのか』を確認するようにしたからです。」
🔵 講師
「具体的には、どんなところで困りました?」
🔴 学習者
「物理・化学の計算です。」
🔵 講師
「やはりそこでしたか。」
🔴 学習者
「参考書を読めば説明は分かるんです。
でも問題になると解けないんです。」
🔵 講師
「では、参考書の説明不足でしょうか?」
🔴 学習者
「最初はそう思いました。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「自分の練習不足だと思っています。」
🔵 講師
「どうして分かったんですか?」
🔴 学習者
「AIに同じような簡単な問題を何問か作ってもらったんです。」
🔵 講師
「それで?」
🔴 学習者
「最初は間違えました。でも解き方を確認して、似た問題を繰り返したら少しずつ解けるようになりました。」
🔵 講師
「つまり、別の説明が必要だったというより?」
🔴 学習者
「問題を解く練習が必要だったんです。」
🔵 講師
「これは参考書選びで、とても重要なところです。」
🔴 学習者
「どういうことですか?」
🔵 講師
「問題が解けないと、すぐに『この参考書が悪い』と思ってしまうことがあります。」
🔴 学習者
「自分もそうでした。」
🔵 講師
「でも原因は、いくつも考えられます。」
🔴 学習者
「例えば?」
🔵 講師
「説明そのものが足りない。
説明は分かるけれど練習量が足りない。
以前の基礎知識が抜けている。
覚えたつもりで定着していない。
問題文の読み方に慣れていない。」
🔴 学習者
「全部、参考書を変えれば解決する問題ではないですね。」
🔵 講師
「そうです。」
🔴 学習者
「法令でも似たことがありました。」
🔵 講師
「何がありました?」
🔴 学習者
「数字が覚えられなくて、『もっと覚えやすい参考書が必要かな』と思ったんです。」
🔵 講師
「でも買わなかった。」
🔴 学習者
「はい。
参考書にはちゃんと書いてありました。」
🔵 講師
「では、何が問題でした?」
🔴 学習者
「自分が覚えていないだけでした。」
🔵 講師
「どうしましたか?」
🔴 学習者
「似ている数字を表にして、違いを整理しました。」
🔵 講師
「自分で?」
🔴 学習者
「最初はAIに整理してもらって、それを参考書と照らし合わせました。」
🔵 講師
「確認したんですね。」
🔴 学習者
「はい。
重要な数字なので、参考書や公式情報と食い違っていないかも確認しました。」
🔵 講師
「その使い方なら、AIを補助役として使えていますね。」
🔴 学習者
「それから、自分でも小さな表を参考書の余白に書きました。」
🔵 講師
「なぜ余白に?」
🔴 学習者
「別のノートにすると、また探すことになるので。」
🔵 講師
「なるほど。」
🔴 学習者
「参考書を開けば、必要な情報ができるだけ一か所にある状態にしたいんです。」
🔵 講師
「最初に買ったときより使いやすくなっていますね。」
🔴 学習者
「はい。
最初は『この本、本当に自分に合っているかな』と思っていました。
今は、少しずつ自分に合う本にしている感じです。」
🔵 講師
「ただ、二週間使ってみて、本当に足りないところはありませんでしたか?」
🔴 学習者
「一つあります。」
🔵 講師
「何でしょう。」
🔴 学習者
「問題量です。」
🔵 講師
「なるほど。」
🔴 学習者
「参考書の確認問題だけだと、同じ問題を覚えてしまいました。」
🔵 講師
「それなら、新しい教材を追加する理由になりそうですね。」
🔴 学習者
「はい。
だから今度は、参考書をもう一冊買うのではなく、問題集を追加しようと思っています。」
🔵 講師
「なぜ参考書ではなく問題集なんですか?」
🔴 学習者
「説明が足りないわけではないからです。
今必要なのは、いろいろな問題を解くことなので。」
🔵 講師
「それなら目的が明確ですね。」
🔴 学習者
「前なら、参考書も問題集もセットで新しく買っていたと思います。」
🔵 講師
「今回は必要なものだけ。」
🔴 学習者
「はい。
基本の説明は今の参考書。
演習量は問題集。
分かりにくいところはAI。
重要な試験情報は公式情報。」
🔵 講師
「それぞれの役割が分かれてきましたね。」
🔴 学習者
「何でも一冊に求めなくていいんですね。」
🔵 講師
「完璧な一冊を探し続けるより、その方が現実的でしょう。」
🔴 学習者
「でも先生、また気になる参考書を見つけてしまいました。」
🔵 講師
「やはり出てきましたか。」
🔴 学習者
「SNSで紹介されていて、『これ一冊で合格できた』って書いてあったんです。」
🔵 講師
「欲しくなりました?」
🔴 学習者
「かなり。」
🔵 講師
「では、前回決めたルールを使いましょう。」
🔴 学習者
「『なぜ必要なのかを一文で説明する』ですね。」
🔵 講師
「はい。
その参考書は、なぜ必要ですか?」
🔴 学習者
「……。」
🔵 講師
「どうでしょう。」
🔴 学習者
「今の参考書より良さそうだから。」
🔵 講師
「今の参考書の、どこに困っていますか?」
🔴 学習者
「説明は特に困っていません。」
🔵 講師
「試験範囲は?」
🔴 学習者
「今のところ問題ありません。」
🔵 講師
「読みやすさは?」
🔴 学習者
「むしろ今の本は読みやすいです。」
🔵 講師
「では、何が必要なんでしょう。」
🔴 学習者
「……新しい本ではなく、問題演習ですね。」
🔵 講師
「買ってはいけないという話ではありません。」
🔴 学習者
「分かっています。」
🔵 講師
「必要なら買えばいい。
でも、新しい教材を買うことで不安を解消しようとしていないか、一度確認する。」
🔴 学習者
「はい。」
🔵 講師
「資格試験では、不安がなくなるまで教材を集めようとすると、終わりがありません。」
🔴 学習者
「確かに。
一冊買ったら、次のおすすめが出てきます。」
🔵 講師
「大切なのは教材の数ではありません。」
🔴 学習者
「問題を解けるかどうか。」
🔵 講師
「そうです。」
「最高の一冊」より「使い込んだ一冊」が力になる
🔵 講師
「最初に参考書を探していたころのことを覚えていますか?」
🔴 学習者
「覚えています。
五冊くらい候補を作って、レビューをずっと読んでいました。」
🔵 講師
「何を探していたんでしょう。」
🔴 学習者
「これさえ買えば絶対大丈夫、という一冊です。」
🔵 講師
「見つかりましたか?」
🔴 学習者
「結局、そんなものはないと思います。」
🔵 講師
「なぜそう思います?」
🔴 学習者
「人によって分かりやすい説明が違うし、得意不得意も違うからです。」
🔵 講師
「それだけですか?」
🔴 学習者
「参考書だけで勉強が完結するわけでもないからです。」
🔵 講師
「今使っている参考書は、買ったときと同じですか?」
🔴 学習者
「本そのものは同じです。」
🔵 講師
「でも見た目はずいぶん変わりましたね。」
🔴 学習者
「付箋だらけです。」
🔵 講師
「書き込みもあります。」
🔴 学習者
「間違えた問題のページには印も付けました。」
🔵 講師
「つまり、最初は誰にでも同じ参考書だったものが?」
🔴 学習者
「今は自分の苦手が分かる参考書になっています。」
学習者は参考書を開きました。
あるページには、小さく「数字注意」と書かれています。
別のページには、問題集の番号が書き込まれていました。
🔴 学習者
「ここは何度も間違えたところです。」
🔵 講師
「この印は?」
🔴 学習者
「問題集で同じ内容が出たところです。」
🔵 講師
「こちらの付箋は?」
🔴 学習者
「まだ少し不安なところです。」
🔵 講師
「これなら復習するとき、どこを優先すればいいかすぐ分かりますね。」
🔴 学習者
「はい。
最初から全部読み直さなくてもいいです。」
🔵 講師
「参考書を使い込むというのは、こういうことでもあります。」
🔴 学習者
「きれいに使うことではないんですね。」
🔵 講師
「もちろん、きれいに使っても構いません。
でも目的は、参考書を新品の状態で保存することではありません。」
🔴 学習者
「合格することです。」
🔵 講師
「そうですね。」
🔴 学習者
「以前の自分なら、線を引くこと自体が勉強になっていたと思います。」
🔵 講師
「今はどうですか?」
🔴 学習者
「問題を間違えたら、その部分へ戻って線を引くようになりました。」
🔵 講師
「なぜ?」
🔴 学習者
「『ここが重要だった』と問題から教えてもらったからです。」
🔵 講師
「参考書と問題集がつながってきましたね。」
🔴 学習者
「はい。
参考書を読む。
問題を解く。
間違える。
戻る。
また解く。
この繰り返しです。」
🔵 講師
「AIはその中のどこに入りますか?」
🔴 学習者
「分からないところを補うところです。」
🔵 講師
「例えば?」
🔴 学習者
「参考書の説明が難しかったら、簡単に言い換えてもらう。
似たものを比較してもらう。
練習問題を作ってもらう。
自分が間違えた理由を整理してもらう。」
🔵 講師
「そして重要事項は?」
🔴 学習者
「参考書や公式情報でも確認します。」
🔵 講師
「いいですね。」
🔴 学習者
「AIがあるからこそ、一冊を使いやすくできる部分もありますね。」
🔵 講師
「そういう使い方はできます。」
🔴 学習者
「昔なら、説明が分からなければ別の参考書を買うしかなかったかもしれません。」
🔵 講師
「今は、説明の仕方を変えてもらうこともできます。」
🔴 学習者
「『小学生でも分かるように』
『身近な例で』
『図を言葉で説明するように』
みたいに変えられます。」
🔵 講師
「ただし、AIだけで試験範囲を管理しようとしない。」
🔴 学習者
「はい。
基本の地図は参考書です。」
🔵 講師
「では、これから参考書を選ぶ人へ、一つだけ伝えるなら何と言いますか?」
🔴 学習者
「ランキング一位を買えばいい、とは言いません。」
🔵 講師
「では?」
🔴 学習者
「自分が実際に読める本を選んでください、と言います。」
🔵 講師
「もう少し具体的には?」
🔴 学習者
「苦手なページを開いてみて、説明を読んでみる。
図や文字の量を見る。
試験範囲に対応しているか確認する。
問題演習につなげやすいかを見る。」
🔵 講師
「そして一冊決めたら?」
🔴 学習者
「しばらく使う。」
🔵 講師
「すぐ別の本へ行かない。」
🔴 学習者
「はい。
問題が解けない理由が、本当に参考書にあるのか確認します。」
🔵 講師
「もし本当に足りなかったら?」
🔴 学習者
「必要な部分だけ追加します。」
🔵 講師
「今回なら?」
🔴 学習者
「自分は問題量が足りなかったので、追加するなら問題集です。」
🔵 講師
「目的がはっきりしていますね。」
🔴 学習者
「『なんとなく不安だからもう一冊』はやめます。」
🔵 講師
「参考書選びに何日も使っていたころと比べて、今はどうですか?」
🔴 学習者
「かなり気持ちが楽です。」
🔵 講師
「なぜでしょう。」
🔴 学習者
「もう『もっといい本があるかもしれない』を毎日考えなくていいからです。」
🔵 講師
「その時間は今、何に使っています?」
🔴 学習者
「問題を解いています。」
🔵 講師
「それが一番大きな違いかもしれませんね。」
🔴 学習者
「最初は、参考書選びで合否が決まるくらいに思っていました。」
🔵 講師
「もちろん教材選びは大切です。」
🔴 学習者
「でも、もっと大事なのは選んだあとの使い方ですね。」
🔵 講師
「その通りです。」
🔴 学習者
「どんなに評判のいい参考書でも、買っただけでは一問も解けるようにならない。」
🔵 講師
「では、普通の参考書でも?」
🔴 学習者
「自分が理解できて、何度も使って、問題と行き来していけば、合格のための強い道具になる。」
🔵 講師
「それが分かれば、教材選びで必要以上に迷わなくなります。」
学習者は参考書を閉じました。
表紙には少し使用感が出ています。
最初に買ったときのような新品のきれいさはありません。
しかし、その一冊には、
間違えた場所。
覚えにくかった場所。
理解するのに時間がかかった場所。
何度も問題に出てきた場所。
そして、少しずつできるようになってきた過程が残っています。
🔴 学習者
「先生、最初は『最高の参考書を見つけたい』と思っていました。」
🔵 講師
「今は?」
🔴 学習者
「最高かどうかは分かりません。
でも、自分にとって使える参考書にはなってきました。」
🔵 講師
「それで十分だと思います。」
🔴 学習者
「これからも、新しい本を探す前に、この一冊をもっと使います。」
🔵 講師
「そして、必要なものがはっきりしたときだけ追加する。」
🔴 学習者
「はい。
参考書を集めるのではなく、参考書を使って問題を解けるようになることに時間を使います。」
理論編はこちらから
⑪ 参考書の正しい選び方(理論編)
資格試験の勉強を始めようと思ったとき、多くの人が最初にするのが「参考書を選ぶこと」です。 書店へ行けば何冊もの参考書が並んでいます。 インターネットで調べれば、 「初心者におすすめ」 「これ一冊で合格」 「最短合格ならこ […]
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